こんにちは、かつコーチです。
Laravelで開発するときにデータベースにアクセスするときに、Eloquentとクエリビルダーがあります。
今回は、それぞれの違いについて掘り下げて解説します。
Eloquentとクエリビルダーの違い
Eloquent ORM
Eloquentは、モデルを介してデータベースにアクセスする**オブジェクトリレーショナルマッピング(ORM)**です。
テーブルのレコードをPHPオブジェクトとして扱うため、オブジェクト指向の感覚でデータを操作できます。
Eloquentはデータベースリレーションシップ(1対多、多対多など)や複雑なクエリも
簡単に扱えるよう設計されているため、開発者にとって使いやすく、メンテナンス性が高いです。
ただし、Eloquentは多くの抽象化が入るため、
SQLを直接実行するよりも処理に若干のオーバーヘッドがかかることがあります。
特に大量のデータや複雑なリレーションを扱う場合、パフォーマンスが低下することがあります。
このため、N+1問題などが発生する場合があり、
適切にwith
などを使ったリレーションのプリロードが重要です。
メリット:
- オブジェクト指向的で扱いやすい
- データベースリレーションシップを簡単に定義・操作できる
- 高度な機能(アクセサ・ミューテータ、イベント、スコープなど)が豊富
- 開発効率が高い
デメリット:
- 大規模なデータセットや複雑なクエリではパフォーマンスが落ちることがある
- シンプルなクエリには少しオーバーヘッドがかかる
クエリビルダー
クエリビルダーは、Laravelの中でSQLを簡単に構築するツールです。
SQLのクエリをPHPコードで組み立てることができ、
非常にシンプルな構文でデータベースへのアクセスが可能です。
Eloquentと比べて直接的にデータベースとやり取りを行うため、
余計なオーバーヘッドが少なく、効率が良いです。
ただし、クエリビルダーはEloquentのようにオブジェクト指向のリレーションシップ機能や、
モデルを使った柔軟な操作ができません。
また、データを取得した後は単なるstdClass
オブジェクトや配列でデータが返されるため、
Eloquentモデルのようなメソッドやリレーションの扱いはできません。
メリット:
- Eloquentよりも効率的でパフォーマンスが良い
- シンプルなクエリには最適
- 複雑なSQLクエリも手動で組み立てられる
デメリット:
- モデルのようなリレーションシップを定義して利用できない
- オブジェクト指向的なデータ操作が難しい
- より多くの手動操作が必要
Eloquentとクエリビルダーの使い分け
- Eloquentを使う場合:
- データベースリレーションを直感的に扱いたいとき(例:1対多、多対多)
- オブジェクト指向的にデータを操作したいとき
- ビジネスロジックがデータベースの複数のテーブルにまたがる場合
- クエリビルダーを使う場合:
- 単純なデータ取得や更新操作が必要なとき
- 高パフォーマンスを必要とする大規模なデータセットを扱う場合
- Eloquentの柔軟性が不要な場合(たとえば、データの整形やリレーションがない場合)
具体例
- Eloquentの場合(オブジェクト指向的に扱えるため、データ操作が直感的):
// ユーザーとその投稿を取得
$users = User::with('posts')->get();
foreach ($users as $user) {
echo $user->name;
foreach ($user->posts as $post) {
echo $post->title;
}
}
- クエリビルダーの場合(SQLに近い形式で直接クエリを構築):
// usersテーブルから名前とメールを取得
$users = DB::table('users')->select('name', 'email')->get();
foreach ($users as $user) {
echo $user->name;
echo $user->email;
}
結論
- Eloquentは、オブジェクト指向でデータベースの複雑な操作を扱いたい場合に非常に便利で、多くのLaravelプロジェクトではデフォルトの選択肢になります。リレーションシップの管理や、モデルごとのデータの取り扱いが非常に簡単です。
- クエリビルダーは、シンプルなクエリやパフォーマンスを重視する場合に適しています。SQLに近い形で直接クエリを組み立てたい場合や、特定のパフォーマンス要件がある場合に有効です。
プロジェクトによって、状況に応じてどちらを使うかを選択するのがベストです。