こんにちは、かつコーチです。
前回は、Linuxがどんなものかを解説しました。
その中で少し触れた「ディストリビューション」について、今回はもう少し掘り下げて解説します。
Ubuntu・CentOS・RHELなど、名前だけ聞くと違いが分かりにくいですが、それぞれ得意分野や立ち位置が異なります。
この記事を読めば、自分の目的に合ったディストリビューションを選べるようになります。
ディストリビューションとは?
Linuxカーネル+ツール群のパッケージ
ディストリビューションとは、Linuxカーネル(OSの中核部分)に、コマンドツールやパッケージ管理システム、設定ファイルなどをひとまとめにして配布用にパッケージ化したものです。
前回解説した通り、Linux単体はカーネルの名前にすぎず、実際に手元で動かすのはこのディストリビューションです。
料理に例えると、Linuxカーネルが「食材」、ディストリビューションが「食材を使って作られた完成した定食」というイメージが分かりやすいです。
系統によって大きく2つに分かれる
ディストリビューションは、パッケージ管理の方式によって大きくDebian系とRed Hat系の2つの系統に分かれます。
系統が違うと、ソフトウェアのインストールコマンドや設定ファイルの場所に違いが出てくるため、最初にどちらの系統かを意識しておくと学習がスムーズです。
代表的なディストリビューションの特徴
Ubuntu:初心者・個人開発に人気のDebian系
Ubuntuは、Debian系の中でも特に人気が高いディストリビューションです。
ドキュメントや日本語の情報が豊富で、初心者がつまずいたときに検索すれば大抵の解決策が見つかります。
パッケージ管理にはaptというコマンドを使い、比較的シンプルな操作でソフトウェアを導入できます。
半年ごとの通常リリースに加えて、2年に一度LTS(Long Term Support)という長期サポート版がリリースされ、企業のサーバー用途でも安心して使えます。
本シリーズでは、2026年4月にリリースされたUbuntu 26.04 LTSを基準に解説を進めます。
CentOS Stream:Red Hat系の開発版ディストリビューション
CentOSは、かつて商用LinuxのRHEL(Red Hat Enterprise Linux)とほぼ同じ内容を無償で使えるディストリビューションとして人気がありましたが、開発方針の変更により、現在は「CentOS Stream」というRHELの開発版に位置づけが変わっています。
そのため、本番サーバーでの安定運用よりも、RHELの次期バージョンで使われる機能を先取りして検証する用途に向いています。
RHEL:商用サポート付きのエンタープライズ向け
RHEL(Red Hat Enterprise Linux)は、Red Hat社が有償で提供する商用ディストリビューションです。
企業向けの手厚いサポートと長期の安定運用が保証されているため、金融機関や大企業の基幹システムなど、絶対に止められないシステムでよく採用されています。
学習目的なら、RHELと互換性の高い無償ディストリビューション(Rocky LinuxやAlmaLinuxなど)で操作感を体験することもできます。
系統ごとのコマンドの違い
パッケージ管理コマンドの比較表
| 項目 | Debian系(Ubuntu) | Red Hat系(RHEL/CentOS) |
|---|---|---|
| パッケージ管理コマンド | apt | dnf(旧yum) |
| パッケージファイル形式 | .deb | .rpm |
| 設定ファイルの傾向 | /etc配下に分散 | /etc配下に分散(構成が一部異なる) |
| リリースサイクル | 通常版6ヶ月/LTS2年 | 商用は数年単位の長期サポート |
コマンドの細かい違いはあるものの、「パッケージをインストールする」「サービスを起動する」といった基本的な考え方はどのディストリビューションでも共通しています。
どれを選べばいいかの判断軸
学習を始めたばかりの方には、まずUbuntuをおすすめしています。
理由は、日本語情報の量と、初心者向けの丁寧なドキュメントが揃っている点です。
将来的に企業のインフラ担当を目指すなら、RHEL系の知識も並行して押さえておくと、就職・転職の選択肢が広がります。
判断に迷ったら、次の基準で選ぶとよいでしょう。
- 個人学習・まず触ってみたい → Ubuntu
- 企業の商用サーバーで働く予定がある → RHEL系(RHEL・Rocky Linux・AlmaLinux)
- 最新機能を先取りして検証したい → CentOS Stream
つまずきやすいポイント:yumとdnfの違いに戸惑った話
私が初めてCentOS系のサーバーを触ったとき、Ubuntu用の手順書に書かれていたapt installコマンドをそのまま打ち込んでエラーになった経験があります。
❌ Before:ディストリビューションを意識せず、Ubuntu用のコマンドをそのまま使う
# CentOS系のサーバーで実行するとコマンドが見つからずエラーになる
apt install nginx
aptはDebian系専用のコマンドのため、Red Hat系のサーバーでは「command not found」というエラーが返ってきました。
✅ After:サーバーの系統を確認してから、対応するコマンドを使う
# Red Hat系(RHEL/CentOS Stream)の場合
dnf install nginx
# Ubuntuの場合
apt install nginx
手順書を読むときは「これはどの系統向けの手順なのか」を必ず確認するようになってから、無駄なエラーに悩まされることがなくなりました。
応用・一歩先の使い方
バージョン確認の方法
自分が今どのディストリビューションのどのバージョンを使っているかは、次のコマンドで確認できます。
cat /etc/os-release
新しい環境に入ったときは、まずこのコマンドを打つ習慣をつけておくと、系統の違いによるトラブルを未然に防げます。
まとめ
この記事のポイント
- ディストリビューションは、Linuxカーネルにツール群をまとめてパッケージ化したもの
- 大きくDebian系(Ubuntu)とRed Hat系(RHEL/CentOS)に分かれる
- 学習用途ならUbuntu、企業の商用サーバー用途ならRHEL系がおすすめ
cat /etc/os-releaseで自分の環境の系統をすぐ確認できる
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ディストリビューションを選んだら、次はいよいよターミナルを使った基本操作に進みましょう。
→ 次の記事:ターミナルの基本操作とシェルの仕組み
タグ: Linux, 初心者向け, 入門