こんにちは、かつコーチです。
GitHub編もいよいよ最終回です。
これまでGitHubを前提に解説してきましたが、実際の現場では「GitLabを使っているチームに配属された」という声もよく聞きます。
どちらも同じGitをベースにしたホスティングサービスですが、機能や思想には無視できない違いがあります。
この記事では、GitHubとGitLabを実際の機能軸で比較し、どちらを選ぶべきかの判断材料を整理します。
GitHubとGitLabの違いとは?
似た機能を持つ2つの作業場の使い勝手比較
GitHubとGitLabの関係は、似たような設備を揃えた2つの作業場を見比べているようなものだとイメージしてください。
どちらの作業場にも「作業台(リポジトリ)」「連絡掲示板(Issue)」「検品ライン(CI/CD)」といった主要な設備は一通り揃っています。
しかし、設備の配置や、標準で何がセットになっているか、追加設備をどこまで自作業場内で完結できるかには、それぞれ個性があります。
GitHubは世界最大のOSSコミュニティが集まる「オープンな広場」としての性格が強く、GitLabは開発からデプロイまでを1つの作業場に集約する「オールインワン工場」としての性格が強い、という違いを念頭に置くと理解しやすくなります。
なぜ比較して理解する必要があるのか
多くのエンジニアはGitHubから学び始めるため、GitLabの画面や用語に最初は戸惑いがちです。
しかし基本の思想(リポジトリ、ブランチ、Pull Request/Merge Request)は共通しているため、違いのポイントさえ押さえておけば、どちらの作業場に配属されても迷わず動けるようになります。
機能比較:GitHubとGitLabの違い
Pull RequestとMerge Requestの呼び方の違い
GitHubで「Pull Request」と呼ぶ、変更を取り込む提案の仕組みは、GitLabでは「Merge Request(MR)」と呼ばれます。
| 項目 | GitHub | GitLab |
|---|---|---|
| 呼び方 | Pull Request(PR) | Merge Request(MR) |
| レビュー承認 | Reviewersが「Approve」 | Approvers設定でルール化しやすい |
| ドラフト機能 | Draft Pull Request | Draft Merge Request |
機能としてはほぼ同じですが、GitLabはMerge Requestの承認ルール(誰が何人承認すれば良いか)を、UI上でより細かく制御できる点に強みがあります。
CI/CDの標準搭載度合い
GitHubはGitHub Actionsという形でCI/CDを提供していますが、リポジトリ作成時点ではワークフローは何も設定されていません。
一方GitLabは、.gitlab-ci.ymlというCI/CD専用の設定ファイルの仕組みが、サービス誕生当初からコア機能として組み込まれています。
# .gitlab-ci.ymlの例
stages:
- test
- deploy
test:
stage: test
script:
- npm ci
- npm test
deploy:
stage: deploy
script:
- npm run deploy
only:
- main
作業場でたとえるなら、GitHubは検品ラインを後から自由に組み立てられる汎用作業場、GitLabは最初から検品ラインが標準設備として組み込まれた工場、というイメージです。
CI/CDを本格的に使う前提のチームであれば、GitLabの方が初期セットアップの学習コストは低く感じられることが多いです。
OSSコミュニティとエコシステムの厚み
GitHubは、世界中のオープンソースプロジェクトが集まる場として圧倒的なシェアを持っています。
有名なライブラリやフレームワークのソースコードは、ほぼGitHub上にあると考えて差し支えありません。
そのため、フォークして貢献する、Star数で人気度を把握するといった、OSSを起点にした情報収集や学習には、GitHubの方が圧倒的に情報量が多いです。
セルフホスティングのしやすさ
GitLabは、自社サーバー内に丸ごと構築する「セルフホスティング版(GitLab CE/EE)」の提供に力を入れているという特徴があります。
社内ネットワークから外に出せない機密性の高いプロジェクトを扱う企業では、この自前運用のしやすさを理由にGitLabを選んでいるケースが少なくありません。
GitHubにも「GitHub Enterprise Server」というオンプレミス版はありますが、コミュニティ全体で見ると、セルフホスト運用のノウハウや情報量はGitLabの方が豊富な印象です。
どちらを選ぶべきか:判断軸
比較した内容を、実際の選定基準として整理すると以下のようになります。
| 判断軸 | GitHubが向いているケース | GitLabが向いているケース |
|---|---|---|
| OSS活用・情報収集 | ライブラリ調査やOSS貢献が多い | 該当ケースは少ない |
| CI/CDの立ち上げやすさ | 柔軟にActionsを組み立てたい | 標準機能で素早く始めたい |
| セキュリティ要件 | 一般的なクラウド運用で十分 | 社内ネットワーク限定など制約が厳しい |
| チームの学習コスト | 未経験者が多く情報の多さを優先 | DevOpsを1つの画面で完結させたい |
新規にチームを立ち上げるフェーズで、特にサーバー運用の制約がなければ、情報量とエコシステムの厚みからGitHubを選ぶのが無難な判断です。
一方、セキュリティ要件が厳しい業界(金融・医療など)や、DevOpsまで含めて1つのプラットフォームに集約したいという方針が明確なチームでは、GitLabが合理的な選択になります。
私自身がクライアント企業のプロジェクトに参加した際、社内規定でクラウドサービスへのソースコード配置が禁止されており、GitLabのセルフホスト版を使わざるを得なかった経験があります。
その現場では、GitHub編で解説してきたPull RequestやProtected Branchの考え方が、呼び方こそ違えどそのままMerge RequestやProtected Branchの設定に応用でき、「仕組みの本質を理解していれば、ツールが変わっても対応できる」ことを実感しました。
応用・一歩先の使い方
迷ったら「今のチームで使われている方」を選ぶ
個人でどちらを学ぶか迷っている場合は、機能の優劣よりも「これから配属されるチーム、あるいは興味のあるOSSプロジェクトがどちらを使っているか」を優先して選ぶのが実践的です。
GitとPull Request(Merge Request)の考え方さえ押さえていれば、どちらのサービスに移っても、UIの違いに慣れる程度で対応できます。
まとめ
これでGitHub編(全15本)は完結です。
この記事のポイント
- GitHubとGitLabは、似た設備を持つ2つの作業場のようなもので、基本の考え方は共通している
- GitHubはOSSエコシステムの厚み、GitLabはCI/CDとセルフホスティングの標準機能に強みがある
- セキュリティ要件やチームの方針によって、選ぶべきサービスは変わる
- Pull RequestやProtected Branchなど、GitHub編で学んだ仕組みの本質は、GitLabに移っても応用できる
次に読むべき記事
GitHub編で学んだブランチ運用やCI/CDの知識は、実際のインフラ構築とも密接に関わります。
次のDocker編では、開発環境そのものをコード化する考え方を扱っていきますので、そちらもあわせてご覧ください。
