こんにちは、かつコーチです。
前回の記事では「良い指示・悪い指示の違い」について、具体的にどう書けばいいかを解説しました。
とはいえ、いざ自分でプロンプトを書こうとすると「何から書けばいいんだっけ?」と手が止まってしまう人も多いと思います。
そこで今日は、良いプロンプトを組み立てるための型として「プロンプトの5要素」を紹介します。
この5つを意識してプロンプトを組み立てるだけで、迷わず具体的な指示が書けるようになります。
プロンプトの5要素とは
なぜ「型」があると楽になるのか
プロンプトは自由な文章なので、慣れないうちは何を書けばいいか迷いがちです。
そこで役立つのが「型」です。
料理のレシピに手順があるように、プロンプトにも「この順番で書けば伝わりやすい」という型があります。
その型が、これから紹介する「目的・役割・制約・出力形式・例」の5要素です。
5要素の全体像
5つの要素をひとことでまとめると、次のようになります。
- 目的:AIに何をしてほしいのか
- 役割:AIにどんな立場で答えてほしいのか
- 制約:守ってほしい条件・避けてほしいこと
- 出力形式:どんな形で回答してほしいか
- 例:お手本となるサンプル
すべてを毎回フル装備にする必要はありませんが、迷ったらこの順番で埋めていくと、自然と具体的なプロンプトが完成します。
要素1:目的(Purpose)
「何をしてほしいか」を最初に明示する
目的は、プロンプトの一番の核になる部分です。
「要約してほしい」のか「新しく文章を作ってほしい」のか「アイデアを出してほしい」のかを、最初にはっきり書きます。
以下の文章を、要点が一目でわかるように要約してください。
このように、動詞(要約する・作成する・提案する・添削する等)をはっきり書くのがポイントです。
目的が曖昧だとどうなるか
目的があいまいだと、AIは「要約」と「感想」と「意見」を混ぜて返してくることがあります。
以下の文章についてどう思いますか。
このプロンプトでは、AIが感想を書けばいいのか、改善案を出せばいいのか、要約すればいいのか判断できません。
目的を明確にするだけで、こうしたズレはかなり防げます。
要素2:役割(Role)
AIに「立場」を与える
役割(ロールプロンプティング)とは、AIに「あなたは◯◯です」という立場を与えるテクニックです。
役割を与えると、AIはその立場にふさわしい語彙・視点・専門性で回答を組み立てるようになります。
あなたはSEOに詳しいWebマーケティングの専門家です。
以下のブログ記事タイトル案について、検索されやすさの観点から改善点を教えてください。
「専門家として答えて」という一言があるだけで、回答の切り口が具体的になります。
役割の指定パターン例
役割の指定は、業務のシーンに合わせていろいろ応用できます。
あなたは新入社員の教育を担当する、経験豊富な人事担当者です。
新人向けのビジネスマナー研修の資料構成を提案してください。
あなたは辛口だが的確な指摘をする編集者です。
以下の文章の弱い部分を遠慮なく指摘してください。
役割を変えるだけで、同じ質問でも返ってくる答えのトーンや深さが大きく変わることを実感できるはずです。
要素3:制約(Constraints)
守ってほしい条件を明記する
制約は、AIの回答を「使える形」に整えるために欠かせない要素です。
文字数、トーン、避けてほしい表現などを具体的に指定します。
以下の条件を守って回答してください。
・文字数は400字以内
・専門用語は使わない
・「です・ます調」で統一する
・箇条書きは使わず、文章でまとめる
制約を細かく指定するほど、後から手直しする手間が減ります。
制約を入れる/入れないでの違い
❌ Before:制約なし
新商品のキャッチコピーを考えて
このままだと、長さも数もトーンもバラバラな案が返ってきます。
✅ After:制約あり
新商品のキャッチコピーを考えてください。
条件:
・15文字以内
・案は5つ
・ターゲットは20代女性
・カジュアルで親しみやすいトーンにする
条件を明記することで、そのまま比較検討できる形の案が返ってくるようになります。
要素4:出力形式(Format)
アウトプットの「型」を指定する
出力形式は、回答を受け取った後にどう使うかをイメージして指定します。
表にしたいのか、箇条書きにしたいのか、コードにしたいのかで、指定の仕方が変わります。
以下のアンケート結果を、項目・回答数・割合の3列を持つ表形式でまとめてください。
以下の企画案を、結論を最初に述べる「PREP法」の構成で文章化してください。
出力形式を指定しておくと、コピー&ペーストしてそのまま使える完成度に近づきます。
JSON形式で出力を指定する例(応用)
システムに読み込ませたい場合など、構造化したい場合はJSON形式で指定することもできます。
以下の商品情報を、name(商品名)、price(価格)、feature(特徴)のキーを持つJSON形式で出力してください。
商品情報:
(ここに元データを貼り付け)
出力形式を厳密に指定することで、後工程の作業(Excelへの貼り付け、システムへの読み込みなど)がスムーズになります。
要素5:例(Example)
お手本を1つ示す効果
最後の要素は「例」です。
言葉で条件を説明するよりも、実際のサンプルを1つ見せた方がAIには伝わりやすいことがよくあります。
以下のサンプルと同じ文体・長さで、別の商品の紹介文を作成してください。
サンプル:
「毎朝の忙しい時間を助けてくれる、1分で作れる時短レシピ。忙しい日でも栄養バランスはしっかり確保できます。」
対象商品:折りたたみ傘
このように「サンプル+作成対象」というセットで渡すと、トーンのズレがほとんどなくなります。
5要素をすべて組み合わせたプロンプト例
最後に、5要素をすべて盛り込んだプロンプトの例を紹介します。
あなたは顧客対応歴10年のカスタマーサポート担当者です。(役割)
以下のクレームメールに対する返信メールを作成してください。(目的)
条件:
・丁寧かつ誠実な印象を与える文面にする
・言い訳がましい表現は避ける
・300字程度にまとめる(制約)
出力形式:
件名と本文を分けて出力してください。(出力形式)
参考にしてほしい過去の返信例:
「この度はご不便をおかけし、大変申し訳ございませんでした。◯◯の件につきましては、△△の対応をさせていただきます。」(例)
クレームメールの内容:
(ここに元メールを貼り付け)
このように5要素を意識して組み立てると、初めて書くプロンプトでも実用レベルの回答が返ってきやすくなります。
まとめ
この記事のポイント
- プロンプトは「目的・役割・制約・出力形式・例」の5要素で組み立てると迷わない
- 目的は「何をしてほしいか」を動詞で明確にする
- 役割を与えると、回答の視点や専門性が具体的になる
- 制約と出力形式を指定すると、そのまま使える完成度に近づく
- 例を1つ添えるだけで、トーンのズレを大きく減らせる
次に読むべき記事
次回は、5要素を盛り込んでいくとプロンプトがどんどん長くなってしまう問題に対処する「コンテキストエンジニアリング」の考え方を紹介します。
指示を詰め込みすぎるとAIの精度が下がってしまうというデータもあるので、整理術をしっかり押さえていきましょう。
→ 次の記事:プロンプトが長くなりすぎるときの整理術(コンテキストエンジニアリング入門)