こんにちは、かつコーチです。
前回の記事で「AWSとは何か」を紹介しましたが、実際に触るにはまずアカウントを作る必要があります。
このとき多くの人が不安に感じるのが「クレジットカード情報を登録して大丈夫なのか」「変な請求が来ないか」という点です。
実は私も最初にアカウントを作ったとき、この不安から一歩を踏み出せず、1週間ほど放置していました。
この記事では、AWSアカウントの作成手順と、作成直後に必ず知っておきたいルートユーザーの扱い方について解説します。
正しい手順を踏めば、リスクを最小限に抑えながら安心して学習を始められます。
アカウント作成の準備
用意しておくもの
AWSアカウントの作成には、以下のものが必要です。
- メールアドレス(他のAWSアカウントで未使用のもの)
- クレジットカードまたはデビットカード
- SMSを受信できる電話番号(本人確認用)
クレジットカードの登録は必須ですが、無料枠の範囲内で使う限り、基本的に料金は発生しません。
ただし「基本的に」という点が重要で、設定を誤ると無料枠を超えて課金される可能性があります。
この対策は次の記事(予算アラートの設定)で詳しく扱いますので、まずは安心してアカウント作成に進んでください。
ルートユーザーとは何か
ルートユーザー(アカウント作成時に自動的に作られる、すべての操作が可能な最上位の管理者アカウントです)は、AWSアカウントを作った直後に唯一使える認証情報です。
会社に例えるなら、建物のすべての部屋の鍵を持つ「マスターキー」を持った状態に近いイメージです。
このルートユーザーは非常に強い権限を持っているため、日常的な作業に使うのは推奨されていません。
万が一ルートユーザーの情報が漏れてしまうと、請求情報の変更やアカウントの削除まで、何でもできてしまうからです。
基本の実装手順
手順1:AWS公式サイトからアカウントを作成する
まずはAWS公式サイト(aws.amazon.com)にアクセスし、「無料でサインアップ」から登録を開始します。
入力する主な項目は以下の通りです。
- Eメールアドレスとアカウント名(後から変更可能)
- 連絡先情報(個人利用か会社利用かを選択)
- クレジットカード情報
- 電話番号によるSMS/音声認証
- サポートプランの選択(個人開発なら「ベーシックサポート(無料)」でOK)
すべて入力すると、アカウントの有効化に数分〜数十分かかることがあります。
手順2:ルートユーザーでサインインする
アカウント作成完了後、登録したメールアドレスとパスワードでAWSマネジメントコンソールにサインインします。
このときのログイン方法は「ルートユーザー」を選択します。
まだ作業用のIAMユーザー(次回の記事で作成します)が存在しないため、この時点ではルートユーザーでのログインしか手段がありません。
手順3:ルートユーザーにMFAを設定する
ルートユーザーでサインインしたら、最初にやるべきことは作業ではなくMFA(多要素認証。パスワードに加えてスマホアプリなどの追加認証を求める仕組みです)の設定です。
手順の概要は以下の通りです。
- コンソール右上のアカウント名をクリックし「セキュリティ認証情報」を選択
- 「多要素認証(MFA)」セクションで「MFAデバイスの割り当て」をクリック
- 認証方法として「認証アプリ」を選択
- Google AuthenticatorなどのアプリでQRコードを読み取る
- 表示された連続する2つの認証コードを入力して完了
MFAの詳しい設定手順とIAMユーザーへの設定は、次々回の記事で改めて詳しく解説します。
まずは「ルートユーザーには必ずMFAを付ける」ということだけ、この段階で覚えておいてください。
つまずきやすい設定・注意点
アカウント作成時にありがちな注意点をまとめます。
- サポートプランは個人開発なら「ベーシックサポート」で十分。有料プランは不要
- 請求先住所は正確に入力する(税務上の確認で使われることがある)
- ルートユーザーのメールアドレスとパスワードは、パスワードマネージャーで厳重に管理する
- ルートユーザーのアクセスキー(プログラムからの操作用の鍵)は基本的に作成しない
特に最後のアクセスキーについては、うっかり作成してGitHubにコミットしてしまう事故が後を絶ちません。
ルートユーザーのアクセスキーは、そもそも作らないのが一番安全な運用です。
よくあるつまずきポイント・エラー対処
ルートユーザーを日常作業に使い続けてしまう
❌ Before:ルートユーザーのままEC2やS3の操作を続ける
私が初めてAWSを触ったときの失敗が、まさにこれでした。
「IAMユーザーを作るのが面倒」という理由で、しばらくルートユーザーのままEC2インスタンスを起動したり、S3バケットを作ったりしていました。
ある日、AWSのセキュリティチェックツール「AWS Trusted Advisor」を開いたところ、赤字で次のような警告が表示されていました。
Root user account IAM Access
Root user should not have active access keys or be used for daily activities.
このとき初めて「ルートユーザーを日常的に使うのはリスクが高い」という重みを実感しました。
✅ After:作業用のIAMユーザーを作成し、ルートユーザーはログイン専用にする
対処法としては、ルートユーザーでログインするのは「請求情報の確認」「アカウント全体の設定変更」といった、IAMユーザーでは行えない特別な操作のときだけに限定します。
日常のEC2操作やS3操作は、次回の記事で作成する管理者権限を持つIAMユーザーで行うようにしましょう。
私はこの警告をきっかけにIAMユーザーへ切り替え、以降はルートユーザーでログインする頻度が月1回程度まで減りました。
請求アラームの通知先を確認していない
もう一つ実体験として紹介したいのが、通知メールの見落としです。
AWSからの重要な通知は、アカウント登録時のメールアドレス宛に届きます。
普段あまり見ないメールアドレスで登録してしまうと、高額請求の予兆となる通知に気づけない可能性があります。
登録するメールアドレスは、日常的にチェックしているものを選ぶことを強くおすすめします。
応用・一歩先の使い方
組織単位でのアカウント管理(AWS Organizations)
個人開発の段階では意識する必要はありませんが、チームや複数プロジェクトで運用する場合はAWS Organizations(複数のAWSアカウントを一元管理する仕組みです)を使うのが一般的です。
ルートユーザーの権限を各メンバーに配ることなく、組織のガバナンスを保ったまま複数アカウントを運用できます。
個人開発から実務レベルへステップアップする際に、覚えておくとよい概念です。
ルートユーザーの緊急時の使いどころ
ルートユーザーは日常利用こそ避けるべきですが、IAMユーザーのパスワードを忘れた場合の復旧や、サポートプランの変更、アカウントの解約など、IAMユーザーでは対応できない場面で必要になります。
「普段は使わないが、いざというときのために安全に保管しておく」というスタンスが最も実践的です。
まとめ
この記事のポイント
- AWSアカウント作成にはメールアドレス・クレジットカード・電話番号が必要
- ルートユーザーはすべての操作が可能な最上位の管理者アカウントで、日常利用には向かない
- アカウント作成後は真っ先にルートユーザーへMFAを設定する
- ルートユーザーのアクセスキーは作成しないのが安全な運用
- 日常のAWS操作は、次回作成する作業用IAMユーザーに切り替える
次に読むべき記事
- IAMユーザー作成とMFA設定で不正利用を防ぐ
- 予算アラートと無料枠管理で高額請求を防ぐ方法
タグ: AWS, 初心者向け, 環境構築