こんにちは、かつコーチです。
前回の記事で、AIエージェントを使った自動攻撃について紹介しました。
今回はその中でも触れた「Docker APIの公開設定」について、具体的に掘り下げます。
Docker APIとは何か
Docker APIは、コンテナーの作成・起動・停止といった操作を、コマンドラインやツールから行うための管理用インターフェースです。
通常はdockerコマンドを使うときに、ローカルのUnixソケット経由で裏側で使われています。
このAPIをネットワーク越しに使えるようにする設定(TCPで公開する設定)自体は、リモートからコンテナーを管理したい場合などに用意されている機能です。
問題は、認証の設定をしないまま、このAPIをインターネットに公開してしまうケースがあることです。
実際に報告されている攻撃事例
セキュリティ企業のThreatDownは2026年9月22日、「CARBONATO」と呼ばれる攻撃について報告しています。
認証なしで公開されたDocker APIを侵入口にし、侵害後の操作にAIエージェントを使う、という仕組みが説明されています。
この事例のポイントは、AIツールを使っていない組織も被害の対象になり得るという点です。
攻撃者がAPIに接続できてしまえば、新しいコンテナーを起動してホスト上で任意のコマンドを実行する、といったことも可能になります。
自分の環境が公開されていないか確認する
確認ポイント1:デフォルトポートが外部に開いていないか
Docker APIのデフォルトポートは2375番(非暗号化)・2376番(TLS)です。
サーバーのファイアウォール設定で、これらのポートが外部(0.0.0.0など)からアクセスできる状態になっていないか確認しましょう。
# 開いているポートを確認する例(Linuxサーバー上で実行)
sudo ss -tulnp | grep -E '2375|2376'
確認ポイント2:daemon.jsonの設定を見直す
Dockerデーモンの設定ファイル(/etc/docker/daemon.json)で、TCPソケットを認証なしで待ち受ける設定になっていないか確認します。
{
"hosts": ["tcp://0.0.0.0:2375", "unix:///var/run/docker.sock"]
}
上記のように、認証なしのTCP待ち受けが含まれている場合は注意が必要です。
安全な設定にするには
- リモートからの管理が不要なら、TCP公開自体をやめる(ローカルのUnixソケットのみで運用する)
- リモート管理が必要な場合は、TLSクライアント証明書による相互認証を設定する
- ファイアウォールで2375・2376番ポートを外部に公開しない(必要な接続元IPのみ許可する)
- 可能であれば、SSH経由でDockerコンテキストを切り替えて操作する(
docker context機能を使うと、TCP公開なしでリモート操作ができます)
よくあるつまずきポイント
つまずき①:検証環境で設定したTCP公開を、そのまま忘れている
動作確認のために一時的にTCP公開を有効にし、確認が終わった後にそのまま放置してしまうケースは少なくありません。
検証用の設定変更は、終わったタイミングで元に戻す運用を徹底しましょう。
つまずき②:Dockerソケットの権限設定が緩い
/var/run/docker.sockのパーミッションを安易に緩めてしまうと、サーバー上の別のプロセスやユーザーからDocker操作ができてしまう場合があります。
必要最小限のユーザー・グループにのみアクセスを許可する設定を心がけましょう。
まとめ
- Docker APIを認証なしでネットワークに公開すると、重大な侵入口になり得る
- デフォルトポート(2375・2376)が外部に開いていないか、daemon.jsonの設定をまず確認する
- リモート管理が必要な場合はTLS相互認証を使い、不要であればTCP公開自体をやめるのが安全
- 検証時に変更した設定の戻し忘れ、ソケットの権限設定の緩さには特に注意する
次回は「ファイルアップロード機能、拡張子チェックだけで安全と思っていませんか?」を紹介します。

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